母親演ずる甲田益也子さんの迫真の演技。
迫真の演技というと誤解を招くでしょうか?
淡泊な語りであるにもかかわらず、本当にこのカルト教団を信じているようにしか見えない。
この映画ここがぶれてたらなにも伝えられないと思うのです。
そして、そこが確固として伝わってくる。
カルトと言ったら特別のことだと思っていましたが、この映画を通じて、洗脳、マインドコントロールについて今一度考えさせられました。
カルトだけじゃない。
異常な家庭環境もまた、人の心をコントロールしてしまう。
この映画に出てくる母親はそこから逃れたかったのでしょう。
最後の一言にもそれが現れている。
しかし、逃れる先が間違っていたことは、映画が始まる段階で分かっていることです。
谷村美月演じる少女の生きる強さがこの映画の救いです。
抑えた音響設計もよい。
ヒタヒタと訴えてくる人間の心の危うさ、不安定さ。
「お前がお前でしかないことに負けるな」
この言葉を私も胸に刻みたいと思いました。