「南営洞1985~国家暴力、22日間の記録~」を観た勢いで
「南部軍 愛と幻想のパルチザン」も観る。
観ながら昔読んだ「鄧小平伝」を思い出す。
アレを読んでいるとこんなのもう全然ロマンティックですよね、ってまたひどい事言ってすみません。
中国共産党関係で読んだ本って多分それしか無いと思うので間違いは無いと思うのですがもし間違ってたらすみません、あっちの方が話がひどすぎて、インパクトはあります。
それに比べるとこの映画は本当に上品に出来ています。
監督の人品ですかね。
とは言え戦争の映画ですから死体とかバンバン飛び交いますけどね。
共産党関係だと兵士にも女性が多いんですよね、平等だから。
で、戦争しているから命の危険を共にしたりもして、
するとやっぱり、なんとか効果もあるから、淡い恋心も芽生えてくる。
(↑身も蓋もない発想)
1本の万年筆。
一枚の手紙。
一編の詩。
そんなもので気持ちを紡ごうとする、そんな恋を近頃忘れがちですよね。
ただもうこの映画は寒い。
多分スタッフも寒い。
今はアウトドアのいろんな機能性衣料や靴が出来て大分楽になったと思いますが、これ撮影している頃ってまだそういうの無かったと思うので役者はもちろんスタッフも大変だっただろうな、と。
しかも私の見間違いでなかったら助監督の名前が14人も並んでたんですが、ひょっとして10人くらい撮影中に逃亡してますかね。
そして、南営洞のトークショーの時に
「アン・ソンギが凍った河の中で身を潜めるシーンは3回も撮ったんだよねー」
みたいな軽い感じでチョン・ジヨン監督がおっしゃってましたけど、
鬼ですね(笑)。
いや、あれ、やばいと思いますよ。
一回目はたまたま飛行機通っちゃって、飛行機の音入っちゃって。
二回目はスチール写真がうまく撮れなくて、
で、三回凍った河に入ったアン・ソンギ。
しかも確かノーギャラで。
まあ、ギャラが出てるかどうかの問題じゃないんでしょうけどね……。
映画観てもそんなことばっかり考えてて、変なおばさんですいません。
そして結論として、結局朝鮮戦争の映画ってテーマはほぼ一緒ですよね。
なんで同じ民族が戦わなければならなかったのか。
ちなみに今もまだ休戦中で、北朝鮮と大韓民国、戦時中ですからね。
130万人が死亡、110万人が行方不明。
ただ、パルチザン側から描いた映画は初めて観たかな…。
「この戦争で勝ったら、世の中が良くなるんだよね」と信じているのが哀れです。
多分南側だってそう思っていたに違いありません。
ちなみに南部軍とありますが、北朝鮮兵団(中央山地沿いに潜入した北朝鮮政治指導部と、北朝鮮軍敗残兵、麗水・順天事件の韓国軍脱走兵、南朝鮮での共産主義シンパの活動家 by wiki) の南部支部団ということですから、名前は南部軍ですけど北サイドなんですよね、余計なお世話だったらすみません。
済州島「4・3蜂起」の指導者でもあったそうですね。
その辺りは5月2日までユーロ・スペースでやっていた「チスル」に詳しい所でしょう。
しかも山岳パルチザンは資料にさえ残っていないとか…。
と言うことは上の人数の行方不明の中に含まれるのでしょうか……。
当時どれだけの人々がその思想に、理想の国家を夢見て、このパルチザンに入山していったことでしょう。
結局はただの殺し合い。
暴力や殺戮が新しい世界を生み出すことはない、ということを人類はいつになったら学べるのでしょうか。
今見たらこの本絶版になってるみたいでビックリ。
読みやすい価格の本なのになんでこういうものが絶版になっちゃうんだろう……。